言葉の力を磨くブログ

伝わる文章を書くための知識庫

「漢字の漢字」はヤな感じ

  文章は書いてある内容はもちろん、「読みやすそうに感じるのか」も重要です。

その文章をパッと見て、「漢字だらけで読むのが面倒くさそう」、「幼稚な表現が多くて、論理的な内容になっているのか不安」などマイナスの印象を覚えてしまえば、読者は読もうとする心にブレーキをかけてしまいます。内容を疑いながら読んでしまい、時には曲解し、その文章を素直に読み取れなくなるでしょう。

 この不幸な行き違いを避けるためにも、文章は見た目も整えなければなりません。というわけで今回は、そのカギとなる「漢字の使用頻度」にはじまり、文章を読みやすく見せる方法を模索していきます。

ひらがなも適度に交ぜて、読みやすそうな文章を書きましょう。

 

 

文章はひらがなで整える

 基本的には漢字だけで考えていくと、文章の見た目を整えやすくなります。まずは漢字で表現していき、固くなりすぎた部分にはひらがなを追加していくイメージです。

 音読みから訓読みへ変更するだけでも、文章を見た時の印象は変わるものです。たとえば”漢字の漢字”はやりがちな表現ではありますが、避けたい表現でもあります。

文章を執筆して情報を整理すると、読者は簡潔に結論を享受できる。

「文章を執筆」、「情報を整理」、「読者は簡潔に」、「結論を享受」。ひとつひとつの表現はわかりやすいのですが、漢字の頻度があまりに高すぎると、文をどのように区切れば良いのか見えてこなくなります。結果的に「漢字だらけで読みづらそうな文章」という印象を読者へ与えてしまうわけです。

 

 では次に、訓読みを取り入れてみましょう。

文章を執筆して情報を整理すると、読者は簡潔に結論を享受できる。

⇒文章を書いて情報を整理すると、読者も結論を掴みやすくなります。

「文章を書いて」、「情報を整理」という各まとまりが見えやすくなるので、それぞれの句で区切りやすくなり、文をリズム良く読んでいけます。

「簡潔に結論を享受」という部分も、漢字が連続していて構造がわかりづらいので、「享受」の代わりに「掴む」を用いることにしました。これにより「結論を掴みやすくなる」というまとまりが見えるようになり、やはり文のリズムを測りやすくなります。訓読みで表現することで、直前の表現が修飾語として機能していると示せるわけです。

そして最後に文のつながりを良くすべく、「読者は」を「読者の」へ直せば完璧です。ひらがなで文の構造を掴みやすくなったおかげで、助詞にも注意を払いやすくなります。

このように訓読みを取り入れることで、文章を読む難易度はグッと下がるわけです。

 

 なお表現を直す際、元となった漢字にこだわる必要はありません。たとえば「享受」はそのままでは訓読みしづらい漢字です。「たのしんで受ける」と無理やり訓読みに直すこともできますが、これでは表現だけでなく、文の意味も変わってしまいます。

そこで例文では、似たような意味、かつ訓読みできる「掴む」を用いました。どちらも「情報をもらう」というニュアンスを秘めている語なので、置き換えてもさほど違和感はありません。結果として文意を大きく変えることなく、文章の見た目だけを整えることができるわけです。

 

迷ったときはひらがなで

 語によっては漢字とひらがな、どちらが適しているのか判断に困ることもあります。具体例を伝える際には「例えば/たとえば」の2択を迫られますし、「~する時/~するとき」や「~する事/~すること」の判断にも惑わされます。

とはいえ一般的な文章においては、ひらがなを用いるように意識しておけば問題はないでしょう。

然し⇒しかし、専ら⇒もっぱら

にも拘らず⇒にもかかわらず、それ故⇒それゆえ

自ら⇒みずから、自ずと⇒おのずと

出来事⇒できごと、纏まり⇒まとまり

 古くには漢字で表現されていた語も、現代ではひらがなで表現するように推奨されていることがほとんどです。むしろ常用漢字表から外れる漢字、いわゆる難解漢字は避けられる傾向にあります。公文書であればともかく、日常される文章においては、ひらがなを用いるべきでしょう。

 なお漢字同様、ひらがなも連続は避けましょう。違和感を覚えない程度であれば、カタカナで代用することも視野に入れます。

文字まみれのはがきはつまらない
⇒文字まみれのハガキはつまらない

 あるいは常用漢字から外れることを承知の上で、ひらがなではなく漢字を用いることもあります。

ただしその漢字を用いたからには、他の箇所でひらがなを用いることは許されません。漢字で表現するのか、ひらがなで表現するのか、最低でもその文章内においては、表記を統一するように心がけましょう。

×文章には「易しいことば」を用いましょう。難しい言葉は理解を妨げてしまいます。

〇易しい言葉で文章を書きましょう。難しい言葉は理解を妨げてしまいます。

上記は「易しいことば」という表現を強調したいあまり、「言葉/ことば」で表記ゆれを起こしてしまった例となります。このような誤用は基本的に、伝えたい想いが強すぎることから生じます。キーワードや結論を述べる際には力みやすくなりますから、表記ズレを起こしていないか、特に注意して確認するようにしましょう。

 

 

 

 以上、「読みやすい印象」を与えられる文章のコツを綴らせていただきました。

漢字をひらがなで調整するように意識しておくだけでも、漢字ばかりで読みづらい文章を書いてしまうリスクは抑えられます。時には常用漢字を無視しても構いません。音読みと訓読みを使い分けて、「読みやすそうな文章」を書いていきましょう。